若い頃に先輩によく言われた、

「発掘調査が終わると、遺跡はその姿が消されてしまう。だから記録を取り、後世に伝えなきゃ。ちゃんと記録を取らないと、あなたの手で先人が生きた証しを消すことになるんですよ」

 

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周りは造成地。何もない平地です。
 発掘調査が始まる。が、その前に・・・。  
 既に座標と高さを持っている点から発掘現場の近くに新たな基準点を。国道添いの既知点から光波測量機とレベル測量機を使って、新たに基準となる未知点に座標と高さを持たせる。今後、これが記録保存のための基本となります。
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基準点から座標を観測してます。

4月某日、今回の調査地にmatsuuraの『たのきんトリオ』(たのきんトリオなんてもう誰もしらないかっ)で赴き、新点を設けて座標の引き込みをしてきました。

 きっちりとした性格の測量士さん、いつも冷静沈着、写真測量のエキスパートでもある測量士補さん、そして雑な性格の私(文化財調査員)。

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新しく設置した点!
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発掘現場の近くに設けてます。
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新点から正確に調査区域を出しました!!

 話は変わって、この3人、実は1965年生まれの同学年。

 1965年といえば東京オリンピックの翌年ですが、大阪万博の開催が決まった年でもあります。1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)、メインテーマは「人類の進歩と調和」だったとか。小さい子を連れていたご両親、または青春真っただ中だった恋人たちには遠い記憶、当時、物心ついたばかりの子どもたちはもう還暦近く。しかし、万博記念公園には今も「太陽の塔」がそびえ立ち、半世紀以上も前なのに人々のレガシーに。

 

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遠くにそびえ立つ「太陽の塔」(阪神高速より)
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大阪万博のレガシー「太陽の塔」

 古代人にはレガシーという感情がないため、地上に残るのは穴だけに。どんな建物が建っていたのだろう?何に使った穴だろう?今判明しなくてもいずれはっきりとした遺構が確認されれば・・・。そのためにもしっかりと記録を。

人類が進歩した今だからこそ、発掘調査での記録は大切なんです。

 この第1歩が座標の引き込み。いい加減にはできませんよと先輩の言葉が蘇りました。

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たのきんヘルメット!!

2年後開催される大阪・関西万博。メインテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。

未来社会をデザインするには年が行き過ぎましたが、これからも『たのきんトリオ』は頑張ります。

実はmatsuuraには『ピンクレディー』も・・・。