10月下旬、大規模改修工事を行っていた世界遺産・厳島神社大鳥居の工事用足場や防御シートが撤去され、3年ぶりにその姿を現したとの報道がありました。海上に浮かぶ赤い鳥居は、残った足場を使って一般公開される見込み、11月末まで真近に見学できるそうです。
と言うことで、唐突ですが赤色について。
神社の鳥居が赤色(正確には朱色)に塗られるのは赤色自体に魔除けの意味があるため。また、古い寺院の堂塔にも朱や緑に彩色されていますが、これは仏教の受け入れ先である中国の影響。赤(朱)色は権威を象徴する色です。
この赤色の原料、見た目では判らないですが、正確には2種類。
「辰砂」という鉱物の形で産出される「赤色第2硫化水銀(Hgs)」とベンガラと呼ばれる「酸化第二鉄(Fe₂O₃)」。
土器や木製品等を赤色に塗る風習は縄文時代中期には現れますが、北部九州では弥生時代中期後半以降、木棺や甕棺の内部に赤色顔料を塗布することが確認されています。特に木棺墓では、棺をベンガラで塗り、被葬者の頭部や胸部には水銀朱を塗ることが分かっており、25年前の木棺墓調査では出土した赤色顔料の分析によって水銀朱を検出、被葬者の頭部の位置が判明したことがありました。
こうした赤色へのこだわりは古墳時代でも。竪穴式石室に埋葬された木棺にびっしりと塗られた朱には魔除け、権力の象徴、防腐剤の効果もあるのかな。
そう言えば、最近、調査した石棺仏にも赤色顔料が・・・。科学分析したら、何かわかるかなぁ?
人は置かれた環境に影響されやすいと言うことわざ、「朱に交われば赤くなる」。
これは中国の故事「近墨必緇 近朱必赤」から来ているもの。
姫路に来て1年、たくさんの方に支えられて、私も良い色に染まっているかな。