才村遺跡の現地説明会にて平安時代の井戸を見学してきました。
方形の井桁(いげた)、この時期の典型的なものです。中からは曲げ物や墨書土器などが出土していました。
才村遺跡の現地説明会にて平安時代の井戸を見学してきました。
方形の井桁(いげた)、この時期の典型的なものです。中からは曲げ物や墨書土器などが出土していました。
さて、ここで井戸について。
何となく井戸のイメージと言えば、円形を呈した石組みのもの。時代劇では、長屋の中で奥様たちが井戸端会議!
また、最近ではホラー映画の中でS子が現れる。
元来、「井戸」とは地下の水脈(帯水層)まで立坑を掘り、湧水部分から飲料水を摂取する施設。最古のものは、アメリカで確認された旧石器時代のものと言われています。
日本では池上曽根遺跡で出土した弥生時代中期のものが最古例。また、神話の世界では、山幸彦が水を汲んだ「玉乃井」と呼ばれるものが鹿児島県指宿市に伝わっています。
で、九州に居たころにたくさんの井戸を発掘してきましたので、ここで少しご紹介。
先ずは、弥生時代。素掘りのものも多いでしょうが、ここでは珍しい「丸太刳り貫き井戸」を紹介します。これは巨木を刳り貫いて井戸枠にしたもので、写真は約2,000年前、弥生時代中期後半のものです。木自体が残りにくいこの時期ですが、湧水点に近く、しっかりと原形をとどめていました。中からは桃の種がたくさん出土。呪術的なものでしょう。
次は、才村遺跡と同じ平安時代のもの。こちらは井桁として板材を縦方に組み、底には曲げ物を据えていました。
素掘り、丸太を刳り貫くもの、井桁を組むもの、石を積み上げるもの。井戸の形も様々で
すが、生きる者にとって水は無くてはならないもの。
水道が完備された今の時代は幸せですね。