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諸行無常。『平家物語』の有名な書き出しですが、これは仏教用語で「形あるものは必ず壊れる」って意味。
で、なぜこんな事を書いたかと言うと、先般、久々に奈良をそぞろ歩き、そして立ち寄った先が「薬師寺」やったから!!
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薬師寺は、天武天皇の勅願によって天武天皇九年(680)に建立された寺院。
ここは何と言っても「凍れる音楽」と称される東塔が有名ですが、享禄元年(1528)の兵火で失われた西塔が長い年月を隔て昭和56年(1981)に蘇ったことでも知られています。
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塔が戦火で焼失するケースは他にも。奈良のシンボル、興福寺五重塔は5度の焼失、再建を重ね、現在のものは応永三十三年(1426)に造られた六代目。
また、大阪の四天王寺は7回も焼失。最後の焼失は第2次大戦時の大坂大空襲で、昭和三十四年(1959)に鉄筋コンクリート造として今に蘇りました。
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塔の焼失は自然災害でも。斑鳩の法輪寺三重塔は昭和十九年(1944)に落雷で焼失。ここは幸田露伴の小説『五重塔』の舞台でもあったため、露伴の娘幸田文の尽力の下、昭和五十年(1975)に見事に再現されました。
また、明石市の須磨寺三重塔は文禄大地震で倒壊していたが、弘法大師1150年忌を祈念して昭和五十九年(1984)で400年振りに再建されています。
そう、形あるものは必ず壊れる。
それでも塔は蘇ります。
新しくてもいいんです。人々の思いや願いが形になっていれば。
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寺院にとって塔は中心的なもの、だから新しく建立するところも。
播磨町の圓満寺、福岡市の東長寺・・・。
どれも素晴らしい。
古い塔もよいですが、新しく建てられても景観にマッチしていれば・・・・。
塔はその存在だけで美しい!!